脳卒中後の手足の違和感。リハビリ相談に役立つ観察メモ
こんにちは、あっぷるぐみのクロエ・フォリウムです。介護福祉士として現場にいると、脳卒中後のリハビリ中に「動くけれど、なんだか自分の手足ではない感じがする」「見ていないと位置がわかりにくい」といった言葉を聞くことがあります。
今回参考にした動画では、脳が作る「ボディイメージ」、つまり自分の体をどう感じ、どう捉えているかが、運動の準備や動きの確認に関わるという話が紹介されていました。
この記事では、専門的なリハビリ方法を説明するのではなく、ご本人や家族が家庭で気づいた変化を安全にメモし、主治医、リハビリ職、看護師、介護職へ相談しやすくするための視点に整理します。症状の判断や訓練内容は一人ひとり違うため、自己判断で無理な練習を増やさないことを前提に読んでください。

「動かしにくい」だけでは表しきれない違和感があります
脳卒中後の困りごとは、筋力の弱さだけで説明できないことがあります。
たとえば、手足の位置がつかみにくい、力を入れたつもりでも思った向きに動かない、手足が大きく感じる・遠く感じる、動作の途中で怖さが出る。こうした感覚は、本人にしか言葉にしにくいことがあります。
動画では、体のイメージと実際の動きがずれると、動きの準備や確認が難しくなることがある、という趣旨で説明されていました。ここで大切なのは、「気のせい」「やる気の問題」と片づけないことです。
介護現場でも、ご本人の言葉は大事な情報になります。うまく説明できなくても、「いつ」「どの動作で」「どんな感じがしたか」を残しておくと、専門職が状態を見立てる助けになります。
家庭では「訓練」より先に観察メモを作ります
家庭でできることは、難しいリハビリを自己流で増やすことではありません。まずは、普段の生活の中で変化を見つけ、相談しやすい形にしておくことです。
確認しやすい場面は、次のような日常動作です。
- コップを持つ、箸やスプーンを使う
- 服の袖に腕を通す、ボタンを留める
- 立ち上がる、歩き始める、方向転換する
- 段差、トイレ、浴室など緊張しやすい場所を使う
- 疲れている時間帯と、休んだ後の違いを見る
メモは、長い文章でなくて大丈夫です。「右手が遠く感じた」「足を置いた位置がわかりにくかった」「見ながらならできた」「夕方にふらつきが増えた」のように、本人の言葉に近い形で残します。
家族や支援者は、できないことを責めるより、「どの場面なら少し楽か」「どの場面で怖さが強いか」を一緒に探す姿勢が大切です。
本人の言葉と、周りから見える変化を分けて書きます
相談メモでは、本人が感じていることと、家族や支援者から見える変化を分けると伝わりやすくなります。
本人の言葉の例です。
- 手が自分の手ではない感じがする
- 足の位置が見ないとわかりにくい
- 力を入れたつもりなのに動きが遅れる
- 動かす前に怖くなる
- 疲れると感覚がぼんやりする
周りから見える変化の例です。
- 物をつかみ損ねる回数が増えた
- 片側の手足を使うのを避けている
- 足先が引っかかりやすい
- 座る、立つ、向きを変える動作で時間がかかる
- 以前より表情がこわばる場面がある
この2つは、どちらが正しいというものではありません。本人の感じ方と、周囲から見える動作を合わせて伝えることで、リハビリ職が確認しやすくなります。

家庭で確認できるポイント
家庭では、次のような点を無理のない範囲で確認します。
- どちら側の手足で違和感が出やすいか
- 朝、昼、夕方、入浴後など時間帯で変わるか
- 見ながら動かすと楽になるか
- 疲れ、睡眠不足、痛み、発熱などで悪化していないか
- 転びそうになった、物を落とした、ぶつけたなどの出来事があるか
- 本人が怖がって避ける動作が増えていないか
注意したいのは、確認のために危ない動作を試さないことです。歩行、段差、浴室、屋外移動などは転倒リスクがあります。心配な場面は、主治医やリハビリ職に「どこまで家で見てよいか」を確認してください。
受診や相談につなげる目安
脳卒中は再発や急な悪化に注意が必要な病気です。国立循環器病研究センターは、脳卒中では突然の片側の手足・顔の麻痺やしびれ、言葉の出にくさ、二重に見えるなどの症状が確認されることがあると案内しています。
次のような場合は、家庭だけで様子を見ず、医療機関や救急相談につなげてください。
- 急に片側の手足や顔が動かしにくい、しびれる
- 急に言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 急に視界がおかしい、二重に見える
- 強い頭痛、意識がぼんやりする、けいれんがある
- 転倒した、頭を打った、強い痛みがある
- いつもと違う悪化が急に出た
すでに脳卒中後のリハビリ中の方でも、「前からある症状」なのか「急に変わった症状」なのかは重要です。迷う場合は、主治医、訪問看護、リハビリ職、ケアマネジャーなど、つながっている窓口に早めに相談してください。
クロエからのまとめ
手足の違和感は、外から見ただけではわかりにくいことがあります。だからこそ、本人の言葉をそのまま残すこと、周囲から見える動作の変化を分けて書くことが、相談の第一歩になります。
クロエとしては、家族や支援者が「もっと頑張って」と押すより、「どの場面で困るかを一緒に見つけよう」と寄り添う形を大切にしたいです。
リハビリは、自己流で増やすより、状態に合わせて専門職と調整するほうが安全です。違和感、怖さ、疲れやすさ、転びそうな場面があるときは、メモを持って相談しましょう。
参考にした動画・資料
- YouTube: 【脳卒中リハビリ】手足が自分のものに思えない?脳が作る「ボディイメージ」と運動の不思議【HiBiニューロ#09】
- チャンネル: ラクシオン.片麻痺トレーニングチャンネル
- 公開日: 2026-06-19
- 国立循環器病研究センター: 脳卒中|病気について
- 国立循環器病研究センター: 脳血管リハビリテーション科
- 厚生労働省: 脳卒中の治療と仕事の両立 お役立ちノート
医療安全上の注意
この記事は、YouTube動画と公的・医療機関資料をもとに一般向けに整理した健康コラムです。脳卒中、片麻痺、高次脳機能障害、感覚障害、リハビリ内容を診断したり、個別の訓練方法を決めたりするものではありません。症状が強い場合、急な悪化がある場合、転倒やけががある場合、判断に迷う場合は、記事だけで判断せず医療機関や主治医へ相談してください。薬の中止・変更、リハビリ内容の変更も自己判断では行わないでください。
