糖尿病は完璧を目指さない。血糖値と長く付き合う5つの考え方
主任看護師の白衣ゆいです
こんにちは、あっぷるぐみの白衣ゆいです。主任看護師として、内科病棟で患者さんの不安や生活の悩みに向き合っています。
今回のテーマは、糖尿病と長く付き合うための考え方です。
結論から言うと、糖尿病の管理で大切なのは、毎日100点を取ることではなく、崩れた日があっても生活を立て直せることです。血糖値やHbA1cは大切な指標ですが、1回の食べすぎや1回の検査値だけで、すべてが決まるわけではありません。
動画では、糖尿病治療は長距離走のようなものだと説明されていました。うまくいかない日があっても、いつもの生活に戻る力があるかどうかが大切です。
もちろん、糖尿病は自己判断で放置してよい病気ではありません。薬、食事、運動、検査目標は人によって違います。この記事では、動画の内容をもとに、糖尿病と長く付き合うために知っておきたい考え方を整理します。

1. 食べすぎた日があっても、全部が台無しになるわけではありません
糖尿病と聞くと、食事を少しでも乱したら失敗したように感じる方がいます。
でも、誕生日会、旅行、外食、家族との食事。生活の中には、予定通りにいかない日が必ずあります。
動画でも、数日の食べすぎで、これまでの努力がすべて無駄になるわけではないと説明されていました。ここで大切なのは、翌日から極端に食事を抜いたり、急に運動を増やしすぎたりしないことです。
急激な増減をくり返すより、いつもの食事、いつもの歩く量、いつもの服薬や測定に戻る方が現実的です。
病棟でも、まじめな方ほど「昨日食べすぎたからもうだめです」と落ち込みます。でも治療は点ではなく線で見ます。1回の乱れより、戻れる習慣を持っているかが大事です。
2. 炭水化物を全部悪者にしない
「糖尿病だからご飯は食べない方がいい」と考える方もいます。
たしかに、炭水化物は血糖値に影響します。ただし、すべての炭水化物を同じように避ければよいわけではありません。
動画では、砂糖入り飲料や菓子パン、スナック菓子などを減らしつつ、主食は量や組み合わせを考えることが紹介されていました。
現実的には、次のような整理がしやすいです。
- 甘い飲み物を日常化しない
- 菓子パンを食事代わりにしない
- 白米を食べるなら量と組み合わせを考える
- 野菜やたんぱく質と一緒に食べる
- 食べる順番や食後の動きも意識する
食べる楽しみを全部奪うと、長続きしません。続けられる範囲で、血糖値が上がりにくい選び方を増やしていくことが大切です。
3. 食後に運動できなくても、できる時間に動けば意味があります
糖尿病では「食後に歩きましょう」と言われることがあります。食後の血糖上昇をゆるやかにする目的では、とても大切な考え方です。
ただ、毎回食後に運動できる人ばかりではありません。仕事、家事、眠気、体調、天気。いろいろな理由で難しい日があります。
動画では、食後でなくても、定期的に体を動かすことが、インスリンの効きやすさや体脂肪の改善につながる可能性があると説明されていました。
できないタイミングにこだわってゼロになるより、できる時間に少し動く方が現実的です。
- 朝に10分歩く
- 買い物で少し遠回りする
- 階段を少し使う
- 座りっぱなしをこまめに切る
- 無理のない筋トレを週に数回入れる
インスリンや血糖を下げる薬を使っている方は、低血糖のリスクもあります。運動のタイミングや強さは主治医に相談してください。

4. HbA1cの小さな変化だけで落ち込みすぎない
HbA1cは、糖尿病管理でよく使われる大切な検査です。
ただし、前回より0.1%上がった、下がったという小さな変化だけで、努力の成功や失敗を決めるのは早いです。
動画でも、HbA1cは過去1から2か月程度の血糖状態を反映するため、直前1週間だけの努力で急に変わるものではないと説明されていました。検査には一定のばらつきもあります。
見るべきは、1点ではなく流れです。
- 3か月、半年、1年でどう変わっているか
- 体重、血圧、脂質、腎機能も合わせてどうか
- 低血糖や体調不良が起きていないか
- 食事や運動が続けられているか
数字は責めるためのものではありません。次の相談を具体的にするための材料です。
5. 薬や治療目標は、人によって違います
糖尿病の薬を始めるか、増やすか、減らすか。ここは自己判断しないでください。
年齢、糖尿病の期間、合併症、腎臓や心臓の状態、低血糖の起こりやすさ、生活背景によって目標は変わります。
国立国際医療研究センター糖尿病情報センターでも、糖尿病治療は食事、運動、薬物療法を組み合わせて行うものと説明されています。
薬を飲んでいる方は、数値がよくなったからといって自己判断で中止しないこと。逆に、薬を使うことになっても「自分の努力不足」と決めつけないことが大切です。
今日からできること
糖尿病と長く付き合うために、まずはこの5つを見直してみてください。
- 食べすぎた翌日は、極端に減らさずいつもの生活へ戻す
- 甘い飲み物や菓子パンを日常化していないか確認する
- 食後に無理なら、できる時間に歩く
- HbA1cは1回の変化だけで判断しない
- 薬や運動の変更は主治医に相談する
糖尿病管理は、毎日100点を取り続ける競技ではありません。70点の日を積み重ねて、崩れた日から戻る練習をすることが大切です。
注意点
この記事は、YouTube動画の内容をもとに一般向けに整理した健康コラムです。糖尿病の診断、治療目標、薬の調整、食事内容、運動量は人によって異なります。治療中の方は自己判断で薬を中止せず、低血糖症状、強い口渇、体重減少、体調不良がある場合は主治医や医療機関へ相談してください。
担当メンバー
白衣ゆい。主任看護師・内科病棟担当。患者さんの不安を整理しながら、医療の話を生活に戻せる形でやさしく届けます。
参考にした動画・資料
- YouTube: 糖尿病の「常識」は間違いだらけ?心が軽くなる正しい「血糖値」との向き合い方【専門医が解説】
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: 糖尿病
- 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター: 糖尿病とは
- 日本糖尿病学会: 糖尿病治療ガイド
医療安全上の注意
糖尿病は年齢、合併症、妊娠の有無、使っている薬によって管理の目標が変わります。記事の内容だけで自己判断せず、薬の調整や運動量の変更は主治医や医療機関と相談してください。強い口渇、急な体重減少、意識がぼんやりする、ふらつきが強いなどの症状がある場合は、受診を先延ばしにせず相談してください。
