60歳を過ぎて血圧140/90と言われたら。慌てず相談につなげる家庭血圧メモ
主任ナース白衣ゆいです
こんにちは、あっぷるぐみの白衣ゆいです。主任看護師として、内科病棟で患者さんの生活不安や退院後の相談を受けることが多くあります。
今回のテーマは、「60歳を過ぎて血圧が140/90mmHgくらいだったとき、どう受け止めればよいか」です。
結論から言うと、血圧140/90mmHgは、1回出ただけで「すぐ危険」と決めつける数字ではありません。ただし、何度も続くなら見過ごしたくない数字です。特に、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上で続く場合や、胸の痛み、息苦しさ、強い頭痛、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどの症状がある場合は、数字だけで様子見せず、早めの相談が必要です。
血圧は、病院で測ったのか、家で測ったのか、朝なのか夜なのか、1回だけなのか数日続いているのかで意味が変わります。この記事では、動画で紹介されていた血圧の見方をもとに、家庭で確認したいポイントを整理します。

1. 140/90mmHgは「1回の数字」だけで判断しない
動画では、病院や健診で140/90mmHg以上が何度も続く場合は、高血圧を疑う目安になると説明されていました。
ここで大切なのは、「1回だけ高かった」と「同じ条件で何日も高い」が違うことです。
血圧はとても変動しやすい数字です。寝不足、寒さ、痛み、緊張、急いで歩いた直後、会話をしながら測った、トイレを我慢していた、測る姿勢が安定していなかった。こうしたことでも上がることがあります。
そのため、1回だけ140/90mmHgが出たからといって、すぐに病気が決まるわけではありません。反対に、「たまたまだろう」と毎回流してしまうのも安全とは言えません。
まずは、落ち着いて座り、腕を心臓の高さに近づけ、少し休んでから測り直す。できれば朝と夜に、同じ条件で数日分を記録する。ここまで見て、はじめて傾向がつかみやすくなります。
2. 病院の血圧と家庭血圧は、同じ数字で見ない
病院で測ると緊張して高くなる方がいます。いわゆる白衣高血圧に近い状態です。一方で、病院ではそこまで高くないのに、家で朝に測ると高い方もいます。
だからこそ、60歳を過ぎて血圧が気になり始めたら、家庭血圧の記録がとても役に立ちます。
目安として、診察室血圧では140/90mmHg以上、家庭血圧では135/85mmHg以上が続く場合に、高血圧として確認が必要になります。ただし、目標値や薬の調整は、年齢、糖尿病や腎臓病の有無、脳卒中・心臓病の既往、ふらつきや転倒リスク、飲んでいる薬によって変わります。
つまり、「数字が高いから薬を増やす」「少し下がったから薬をやめる」と自分で判断するのは避けてください。
血圧の薬は、効きすぎてもふらつきや転倒につながることがあります。逆に、自己判断で中断すると血圧が上がり、脳や心臓、腎臓への負担が増えることがあります。気になる数字が続くときは、血圧手帳やアプリの記録を持って、主治医に相談しましょう。
3. 朝の血圧は、家で測らないと見えにくい
動画で強調されていたのが、朝の家庭血圧です。
朝は、体が目覚めて活動を始める時間です。起きる、トイレに行く、着替える、食事を準備する、薬を飲む、外へ出る。こうした流れの中で血圧が変わりやすくなります。
病院では昼間に血圧を測ることが多いため、朝だけ高いタイプは見つかりにくいことがあります。だから、家庭で朝の血圧を測る意味があります。
測るときは、次のように条件をそろえると記録として使いやすくなります。
- 起床後1時間以内を目安にする
- トイレを済ませてから測る
- 朝食前、服薬前を基本にする。ただし医師から別の指示がある場合はそれに従う
- 椅子に座り、1〜2分ほど静かにしてから測る
- できれば上腕式の血圧計を使う
- 原則として2回測り、平均や両方の数字を残す
完璧な記録を作る必要はありません。大切なのは、できる範囲で同じ条件に近づけることです。
4. 上の血圧だけでなく、下の血圧と脈拍も残す
血圧というと、上の数字だけに目が行きがちです。たとえば140/90mmHgなら、上が140、下が90です。
でも、下の血圧も大切です。年齢を重ねると、上の血圧だけが高くなりやすい方もいますし、上も下も高めに出る方もいます。どちらがよい悪いと自分で決めるのではなく、両方の数字を記録して、医師に見てもらうことが大切です。
できれば、脈拍、測った時間、体調も一緒に残しましょう。
たとえば、「寝不足」「寒い」「塩分多め」「頭痛あり」「薬を飲み忘れた」など、一言で十分です。病棟でも、数字だけより「その日の背景」があるほうが、医療者は状況をつかみやすくなります。

5. 症状があるときは、血圧の数字だけで様子見しない
この記事で一番大切にしたいのはここです。
血圧が140/90mmHg、150/95mmHg、160mmHg台だったとしても、数字だけを見て「まだ大丈夫」「もう危険」と決めることはできません。症状があるかどうかを必ず見てください。
次のような症状がある場合は、血圧の数字だけで様子を見ないでください。
- 胸の痛み、胸の圧迫感
- 強い息苦しさ、冷や汗
- 今までにない強い頭痛
- 片側の手足に力が入らない、しびれる
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 顔の片側がゆがむ
- 視界が急におかしい
- 意識がぼんやりする
このような症状は、脳や心臓の重大な病気と関係することがあります。水を飲んで寝る、薬を自己判断で追加する、少し待ってみる、という前に、救急相談や救急要請を考えてください。
症状がない場合でも、高めの数字が何日も続くなら、血圧記録を持って主治医へ相談しましょう。「症状があるときは早く相談」「症状がなくても続く高血圧は記録して相談」。この2つを分けて考えると、慌てすぎず、放置もしにくくなります。
今日からできる血圧メモ
まずは、次の5つだけで構いません。
- 日付
- 朝か夜か
- 上の血圧、下の血圧
- 脈拍
- 気になる体調や出来事
高い数字の日を隠す必要はありません。良い数字が出るまで何度も測り直して、その数字だけを書く必要もありません。
血圧手帳は、成績表ではなく、相談の材料です。高い日も低い日も、できる範囲で正直に残すことが、体を守る情報になります。
血圧140/90mmHgを見たら、慌てない。でも、放置もしない。家で朝と夜に測る。上も下も記録する。症状があれば早く相談する。薬は自己判断で変えない。
この5つを、今日からの血圧メモにしてみてください。
注意点
この記事は、YouTube動画の内容と公的・専門機関の情報をもとに、健康コラムとして一般向けに整理したものです。高血圧の診断、治療目標、薬の開始・変更・中止は、年齢、合併症、腎機能、脳心血管病の既往、ふらつきや転倒リスクなどで変わります。治療中の方は自己判断で薬や通院を中断せず、主治医や医療機関に相談してください。
担当メンバー
白衣 ゆい。主任看護師、内科病棟担当。患者さんの不安を整理しながら、医療の話を生活に戻せる形でやさしく届けます。
参考にした動画・資料
- YouTube: 【医師が解説】60歳を過ぎたら血圧は「いくつから危険」なのか?本当の危険ゾーンとは
- チャンネル: 血管を守る健康手帳
- 公開日: 2026-06-26
- 国立循環器病研究センター: 高血圧|病気について
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム: 健康づくり情報
- 日本高血圧学会: 高血圧治療ガイドライン
