膵がんは早期発見が難しい。症状・検査・受診の目安を家族で確認
主任ナース白衣ゆいです
こんにちは、あっぷるぐみの白衣ゆいです。主任看護師として内科病棟を担当しています。
今回のテーマは、膵がんです。
結論から言うと、膵がんは小さいうちは症状が出にくく、見つかった時には進んでいることが少なくありません。だからこそ、腹痛、体重減少、黄疸、急な糖尿病の悪化などを「よくある不調」と決めつけず、受診のきっかけとして拾うことが大切です。
動画では、膵がんが早期発見しにくい理由、家族歴や喫煙などのリスク、CTや超音波内視鏡検査、手術と薬物療法の考え方が整理されていました。
この記事では、患者さんやご家族があわてず確認できるように、「症状」「検査」「相談の順番」を中心にまとめます。

1. 膵がんは、症状が出るまで気づきにくいことがあります
動画でも最初に強調されていたのは、膵がんは早期発見が難しい病気だという点です。
膵臓は胃の裏側にあり、周囲には大きな血管や胆管があります。小さいうちは目立つ症状が出にくく、症状が出た頃には病気が進んでいることがあります。
国立がん研究センター がん情報サービスでも、膵臓がんは小さいうちは症状が出にくく、進行すると腹痛、食欲不振、体重減少、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こることがあると案内されています。
ここで大事なのは、「膵がんらしい症状だけを待たない」ことです。
- なんとなく食欲が落ちた
- 体重が続けて減ってきた
- みぞおちや背中の痛みが続く
- 便の色が薄い、皮膚や白目が黄色い
- 糖尿病の数字が急に悪くなった
こうした変化が続くときは、消化器内科などで相談する理由になります。
2. 黄疸、体重減少、腹痛、糖尿病悪化は見逃したくないサインです
動画では、膵がんで多い症状として腹痛、体重減少、黄疸、食欲不振、腹満感、背中の痛みなどが紹介されていました。
特にわかりやすいのが黄疸です。膵頭部に病変があると胆汁の流れ道が狭くなり、皮膚や白目が黄色くなる、便が灰色っぽくなる、尿が濃くなるといった変化が出ることがあります。
一方で、膵体部や膵尾部では黄疸が出にくく、体重減少やあいまいな痛みだけで進むこともあります。肩や背中、腰の痛みとして感じることもあり、「整形外科かな」「疲れかな」と受診が遅れやすいところが難しい点です。
また、急に糖尿病が見つかったり、今まで安定していた血糖が急に悪化したりすることが、膵がん発見のきっかけになる場合があると動画では説明されていました。
もちろん、これらの症状があるからといって、すぐに膵がんと決まるわけではありません。ただ、続くときに放置しないことが大切です。
3. 家族歴、喫煙、肥満、慢性膵炎などは背景として確認したいです
動画では、膵がんの背景要因として、家族歴、糖尿病、喫煙、肥満、慢性膵炎、口の中の健康状態などが話題に上がっていました。
すべての人に同じだけ当てはまるわけではありませんが、受診時に次の情報を伝えられると診療の助けになります。
- 血縁者に膵がんの方がいるか
- 糖尿病の有無、最近のHbA1cや血糖変化
- 喫煙歴、本数、禁煙の時期
- 体重変化
- 慢性膵炎や膵のう胞を指摘されたことがあるか
動画では、IPMNのような膵のう胞性病変が、経過観察や手術判断の対象になることも説明されていました。健診やCTで「膵のう胞」「膵管の拡張」などを指摘されたままになっている方は、結果を持って消化器内科で相談する価値があります。
4. 検査は腹部超音波、CT、MRI、超音波内視鏡検査が使われます
動画では、膵がんを疑ったときの検査として、腹部超音波検査、CT、MRI、PET、超音波内視鏡検査(EUS)が紹介されていました。
受診の流れとしては、まず診察と血液検査のあと、腹部超音波やCTが使われることが多いです。がん情報サービスでも、膵臓がんの検査として超音波検査、CT、MRI、超音波内視鏡検査などが案内されています。
動画で印象的だったのは、EUSは小さい病変の確認に役立つ一方、眠る薬を使うことが多く、術者の技術によって見え方に差が出ることがあるという説明でした。
患者さんやご家族として覚えておきたいのは、「1回の検査で全部わかるとは限らない」ということです。
- まずCTで全体像をみる
- 肝転移や細かい病変確認にMRIが使われることがある
- より近くで詳しく見るためにEUSが追加されることがある
- 組織検査が必要になることがある
検査が増えると不安になりますが、「病気の広がりを確認して、治療の方針を決めるための段階」と理解すると整理しやすくなります。

5. 治療は手術だけでなく、薬物療法や放射線も組み合わせて考えます
動画では、膵がん治療は手術だけではなく、薬物療法や放射線を組み合わせる流れが現在の標準になってきていると説明されていました。
がん情報サービスでも、膵臓がんでは多くの場合、手術の前後に薬物療法が行われ、手術が難しい場合にも薬物療法が使われると案内されています。
ここで患者さん側が知っておきたいのは、手術ができるかどうかは「がんがある」だけで決まるのではなく、血管への広がり、転移の有無、体力、栄養状態なども含めて判断されるということです。
また、動画では術後の回復や再発予防のために、歩行やリハビリ、栄養管理、必要に応じた抗がん薬治療が大切だと話されていました。
「手術をしたら終わり」ではなく、
- 手術前の体力と栄養状態を整える
- 手術後に日常生活へ戻る
- 再発予防の治療を続ける
という流れで考えるとわかりやすいです。
6. 受診前にメモしておくと、相談が進みやすくなります
膵がんは症状があいまいなことも多いので、診察で伝える内容を整理しておくと役立ちます。
- 痛みがある場所と続いている期間
- 体重がいつから何kg減ったか
- 食欲不振、吐き気、便の色、尿の色の変化
- 糖尿病の急な悪化や健診異常
- 家族歴、喫煙歴、これまでの膵疾患
- 健診や他院の画像結果があればその内容
ご家族が一緒に受診できる場合は、本人が気づきにくい変化を補足できることもあります。
今日からできるチェックリスト
- 黄疸、体重減少、腹痛、背中の痛み、急な糖尿病悪化が続くときは受診を先延ばしにしない
- 家族歴、喫煙歴、体重変化、健診結果をメモしておく
- 膵のう胞や膵管拡張を指摘されたことがあれば結果を持参する
- 検査が追加されても「治療方針を決めるための確認」と理解して焦らない
- 手術だけでなく、栄養、リハビリ、薬物療法まで含めて主治医と相談する
膵がんは、症状が出にくいからこそ「いつもの不調」との見分けが難しい病気です。だから、強い症状だけを待たず、体重減少や急な血糖悪化のような小さな変化を受診につなげることが大切です。
不安がある方は、次の受診で「膵臓の検査が必要ですか」「CTや超音波で十分ですか」「糖尿病の悪化と関係がありますか」と聞いてみてください。質問すること自体が、早めの行動につながります。
注意点
この記事は、YouTube動画の内容と公的ながん情報をもとに、一般向けの健康コラムとして整理したものです。膵がんの診断、検査の選び方、手術適応、薬物療法、放射線治療は、病気の広がりや全身状態によって異なります。黄疸、強い腹痛、背中の痛み、体重減少、急な糖尿病悪化がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。
担当メンバー
白衣 ゆい。主任看護師、内科病棟担当。患者さんやご家族が、病気の説明を生活の中で理解しやすい形に整えて届けます。
参考にした動画・資料
- YouTube: 第186回市民公開講座〈第2部〉「あきらめない膵がん治療 ― 膵がんに対する私たちの取り組み ―」
- チャンネル: 東京医科大学病院
- 公開日: 2026-05-01
- 国立がん研究センター がん情報サービス: 膵臓がん
- 国立がん研究センター がん情報サービス: 膵臓がん 検査
- 国立がん研究センター がん情報サービス: 膵臓がん 治療
